特定健診・特定保健指導とは
高齢者の医療の確保に関する法律により、平成20年度から、健康保険組合などの医療保険者に対し、40歳~74歳の被保険者および被扶養者に特定健診・特定保健指導を実施することが義務付けられました。
これは、厚生労働省による医療制度改革の一環で、現在、死亡原因の多くを占めている生活習慣病を予防するとともに、これに関係して年々増加する医療費の適正化を図ることを目的としています。
医療保険者には、保健指導の徹底からデータの蓄積・管理、生活習慣病有病者・予備軍の減少、医療費の適正化効果などの評価が求められており、この特定健診・特定保健指導の実施状況・成果によって、健康保険組合から拠出される「後期高齢者支援金」が+-10%の範囲で加減されます。
生活習慣病の予防に向けて
生活習慣病の予防のためには、病気の発症とかかわりが深い「メタボリックシンドローム」の該当者・予備軍の生活習慣を改善することが重要です。そこで、特定健診・特定保健指導ではメタボリックシンドロームに着目したうえで、
(1)保健指導が必要な人を抽出するための健診(特定健診)
(2)生活習慣を改善するための保健指導(特定保健指導)
を行っていきます。
特定健診の項目
必須項目
質問票 | 服薬歴、喫煙歴等 |
身体計測 | 身長、体重、BMI、腹囲 |
理学的検査 | 身体診察 |
血圧測定 | |
血液検査 | 脂質検査:中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール 血糖検査:空腹時血糖またはヘモグロビンA1c(いずれか一方、または両方) 肝機能検査:GOT、GPT、γ-GTP |
検尿 | 尿糖、尿たんぱく |
詳細な健診の項目(一定基準の下、医師が必要と認めた場合に実施)
心電図検査 | |
眼底検査 | |
貧血検査 | 赤血球数、血色素量、ヘマトクリット値 |
特定保健指導の対象者
判定指標
腹囲とBMI | 男性85cm以上、女性90cm以上 または BMIが25以上 |
追加リスク 項目 |
①血糖:空腹時血糖100mg/dl以上 または ヘモグロビンA1c5.6%以上 ②脂質:中性脂肪150mg/dl以上 または HDLコレストロール40mg/dl未満 ③血圧:収縮期130mmHg以上 または 拡張期85mmHg以上 ④喫煙歴 |
対象者(階層化)
腹囲とBMI | 追加リスク | 対象者 | |
①血糖 ②脂質 ③血圧 | ④喫煙歴 | ||
[腹囲] 男性:85cm以上 女性:90cm以上 |
2つ以上該当 | ― | 積極的支援 |
1つ該当 | あり | ||
なし | 動機付け支援 | ||
上記以外で BMI25以上 | 3つ該当 | ― | 積極的支援 |
2つ該当 | あり | ||
なし | 動機付け支援 | ||
1つ該当 | ― |
なお、65歳以上の方は、積極的支援に該当された場合も動機付け支援対象者となります
特定保健指導でフォローアップ
保健指導を必要とする「動機付け支援」「積極的支援」に分類された方には、医師や保健師、管理栄養士が面接・指導を行い、各個人に合った生活習慣改善プログラムを提供します
動機付け支援 | |
支援期間 原則1回 内容 医師や保健師、管理栄養士の指導のもと、対象者自らが生活習慣改善のための行動計画を策定。6ヵ月経過後に指導者が実績の評価を行う。 |
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積極的支援 | |
支援期間 3ヵ月以上(継続的に実施) 内容 策定した行動計画を対象者が自主的かつ継続的に行えるよう、指導者が定期的・継続的に介入し支援する。6ヵ月経過後に指導者が実績の評価を行う。 |